医療従事者のイラストの上にCoronavirus in New York: view from the frontlinesの印字

US

コロナを治療したニューヨーク医師の話

アメリカの新型コロナウイルスによる死亡者数は5月26日現在で99,459人で、世界最多です。アメリカでも新型コロナウイルス感染症が最も深刻なのはニューヨーク州です。

ニューヨークのなかでもコロナの患者が最も多いブルックリンの病院に、医師としてボランティアで働いたGretchen Volkさんが、コロナとの戦いが患者や医療従事者にとってどんなものだったのか語ってます。

さっそく記事を見てみましょう。

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Coronavirus in New York: view from the frontlines

『ニューヨークのコロナウイルス:最前線から』

 

May 24, 2020 NHK WORLD より



コロナと戦ったボランティア医師の話

「ニューヨークの病棟で、コロナの患者さんの世話をしている時、私は、医師であり、看護師であり、ソーシャルワーカーでありー、友達であり、家族のかわりだった。」と小児科医のVolkさんは言う。

“I was a doctor, a nurse, a social worker, a friend, and a substitute family member”

コロナ患者のために、ニューヨーク市の病院のボランティアとして小児科医のVolkさんは、4月中旬の一週間働いた。コロナウイルスの残酷な現実を、患者と医療関係者双方の立場から目の当たりにした彼女は、NHKにコロナ最前線で戦った経験を話した。

「お願いです。ニューヨークを助けてください。」3月にニューヨーク州知事アンドリュー・クオモ氏からアメリカ国内中に嘆願書(plea)が出された。

新規の新型コロナウイルス患者がニューヨークでは、一日に1000人出ていて、ニューヨーク知事は医療従事者(healthcare professionals)に、援助要請の手紙を出したのだった。

ニューヨーク知事の写真

Andrew Cuomo

 

小児科医(pediatrician)のGretchen Volkさんは、でニューヨークの北部 ロチェスター(Rochester) から、すぐにその要請にこたえた。

コロナで大変な人たちをとにかく助けたい

新型コロナウイルス治療のボランティアを行った小児科医のVolkさんは、

「私は、ICUでどうやって働くかわからなかったのよ。人工呼吸器の作動の仕方も知らなかった。しかし私は医者よ。助けを求めているところに飛んでいきたい気持ちがあるんです。」と言う。

“I don’t really know how to work in an ICU. I don’t know how to run a ventilator. But I am a physician. I’m kind of jumping out of my skin to want to do something where I know they can really use some help.”

 

コロナ治療のボランティアへの要請を受けた数週間後、Volkさんは他の医療従事者のボランティアたちと一緒にニューヨーク行きの飛行機に乗り込んだ。

コロナウイルスのニューヨーク市の死亡者合計(death toll)は合当時750人を記録していた。

ニューヨーク市の中でも、もっともコロナの事態が悪化している地域(hardest-hit area)であるブルックリン(Brooklyn)にVolkさんは行った。

新型コロナウイルス患者を見た時のような経験は今までしたことがなかったとVolkさんは言う。彼女は7年前にもグアテマラ(Guatemala )の貧しい子供たちに医療を届けるボランティアをしたことがあるにもかかわらず。

グアテマラの位置

Gringer – による作品

 

 

新型コロナウイルスとの闘いを、Volkさんのブルックリンの病院での毎日の様子から見てみよう。



コロナの病棟は異様なまでに静かだった

Day one: an eerily quiet ward

(1日目:不気味なまでに静かな病棟)

36人の新型コロナ感染者の治療にVolk さんは、医師、インターン、ナースプラクショナー(nurse practitioner)7人チームであたった。

新型コロナウイルスのパンデミックが始まってから休みもなく医療チームは働き続け、疲れきっていたが(were exhausted from working)やりがいに満ちていた(sense of purpose)

コロナ感染病棟は、思いもがけず不気味に(eerily) 静かだった。新型コロナ感染症COVID-19の患者はは家族の面会が許されないからだ。

コロナ患者と家族のコミュニケーションを手助けするのも医師の仕事

コロナで苦しんでいる患者にVolkさんは、何か自分にできることはないかと思い、治療をしつくしたとされた3人の患者の家族・関係者に患者の様子を知らせる仕事を請け負った。(break the news to the relatives)

新型コロナウイルス感染症covid19の患者の家族は、自分たちの愛する人とずっと会えないでいる。新型コロナウイルスで自分の家族が今どんなに苦しんでいるのかも知らない。だから、彼女は、家族と患者がコミュニケーションできるよう手伝った。

コロナウイルスで死んでいく人が、家族と人生最後の会話をできるように手助けすることが、薬の管理や酸素濃度の観察とともにVoklさんの仕事になった。

Having tough end-of-life conversations with the families of dying patients became part of her job, along with administering medicine and monitoring the oxygen levels of patients.

end-of-life:人生最後・寿命の終わり、寿命末期

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コロナで病院の同僚が亡くなる

Day two: painful losses

(2日目:悲しい別れ)

新型コロナウイルス感染症治療のボランティアに参加した2日目の朝、Volkさんは、2人の予期しない死に遭遇し、コロナウイルスの残酷な現実(cruel reality)を目の当たりにする。一人は病院のスタッフの若い男性で、もう一人は高齢の女性であった。

 

「新型コロナウイルスのためにその女性は、ひどい呼吸困難に陥っていて、不安におびえていました。私は3時間ぐらい彼女のそばで彼女の手を握っていました。彼女の顔をこすり、彼女を安心させようとしました。しかし、彼女は、どんどん、どんどん状態が悪くなっていったのです。」とVolkさんは振り返る。

“(The woman) was in extreme respiratory distress, so scared. And I probably spent the next three hours with her right at her bedside holding her hand, rubbing her face, trying to reassure her, but she was just getting worse and worse and worse.”

 

 

コロナ最前線で戦う妻を見て、Volkさんの夫は、彼女の身の安全を心配した。最悪のケース(worst-case scenario)も考えざるを得なかったと話す。

 



コロナの医療従事者は、精神的なトラウマに直面する

Medical workers face mental trauma

新型コロナウイルス感染症と戦う医療従事者に襲い掛かるのはウイルスの危険性だけではない。コロナ最前線で戦う医療従事には心理的な衝撃( psychological impact) がある。

新型コロナウイルスと戦う医療従事者、ニューヨークの救急医(emergency doctor)が心理的なストレスにより4月下旬に自殺している。

コロンビア大学の準教授Susan Michael Strasser氏によると、「病院で働く専門家たちの心的外傷・トラウマ(trauma)は、戦場で戦って来た戦士の心的外傷・トラウマに匹敵する。本当によく似ている。彼らは、多くの人が決して目撃しない程のひどい死や痛みを目の当たりにする。」とのこと。

”The trauma is comparable to that of a soldier returning from the battlefield. “It really is analogous,” she says. “They are witness to death and pain on a level that most people never have to witness. It is traumatizing.”

The Japan Times Alpha

戦場の兵士の写真

新型コロナウイルスの臨床は生と死の戦い

Lessons from COVID-19

コロナの最前線の現場からVolkさんが家に戻って数日後、家族と同僚を感染から守るために自分自身の感染について検査(quarantine)した。

コロナ感染者を治療している病院で、自分が見たり経験したすべてをVolkさんは、思い出している。

「私はブルックリンでの出来事を決して忘れないし、新型コロナウイルス感染症が私に教えてくれたことを忘れない。生と死の一週間だった。よくなっていく人を励ます一週間だった。亡くなる人を悼む一週間だった。」

“I will never forget my week in Brooklyn and the lessons COVID-19 taught me. It was a week of death and life and cheering for those who got better, and mourning for those who didn’t”

と地本新聞に彼女はそう投稿している。彼女は、読者から多くの便りをもらっているとのこと。

ニューヨークは、アメリカの中でも最も新型コロナウイルス感染症が拡大した場所である。
今でも、ニューヨーク市の病院で何千人もの新型コロナウイルス感染症の患者が入院している。医療従事者は病院崩壊(overwhelmed)を防ぐために必死に働いている。

ニューヨーク知事によると、これまでのところ、医療従事者のボランティアは15,000人にのぼり、その人たちは精神的、身体的に献身的にコロナ感染者を救っている。



そう言えば

※記事の中に、nurse practitionersという医療職がでてきました。これは日本にはない医療職で医師と看護師の中間的な役割をすると言う感じの職種です。ウィキペディアで調べてみましたので、参考にして見てください。

ナース・プラクティショナー:アメリカ合衆国の上級の看護職。一定レベルの診断や治療などを行うことが許されており、臨床医と看護師の中間職と位置づけられる。

NPは、看護師として一定以上の職務経験を積んだものが専門職大学院において必要な学位を取得し試験に合格し、資格を得ることができる。ナース・プラクティショナーは州単位の規制によって規定されており、NP自らによる診療所の開設は、自己の責任においてこれが可能である州、提携関係にある医師の監督下において可能となる州などがある。

NPの可能な行為は、初期症状の診断、処方、投薬などを行うことが出来るが外科手術などは行うことが出来ない。

 





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