みなさんこんにちわ。世界で最も新型コロナウイルスの感染者が多いニューヨークで、川崎病に似ている症状が子供に出ているという報告がありました。
今まで、新型コロナウイルスは子供はかかりにくく、症状も軽いとされていました。COVID-19と川崎病との関連性はあるのでしょうか?
さっそく記事を見てみましょう。
2020.5.2 ニューヨークタイムズ
目次
今日のSentence
Fifteen children, many of whom had the coronavirus, have recently been hospitalized in New York City with a mysterious syndrome that doctors do not yet fully understand but that has also been reported in several European countries, health officials announced on Monday night.
Many of the children, ages 2 to 15, have shown symptoms associated with toxic shock or Kawasaki disease, a rare illness in children that involves inflammation of the blood vessels, including coronary arteries
単語
hospitalize:【hɑ́spitəlàiz】(ハスピタライズ):~を入院させる be hospitalize:入院する
issue:(イッシュー):発表する・発行する・出す
syndrome:症候群・シンドローム・病的現象
toxic shock:Toxic shock syndrome(TSS)=毒素性ショック症候群
体の中に入った、細菌やウイルスなどの微生物がスーパー抗原を出すことがある。スーパー抗原は、白血球のT細胞を刺激して、大量のサイトカインを放出させる。そのサイトカインが体中の臓器を痛めつけておきるのが毒素性ショック症候群。症状には発熱、発疹、落屑(らくせつ=皮膚の垢がパラパラと落ちること)、低血圧などがある。抗生物質の投与や病巣の除去などの処置をしなければ死亡することもある。
Kawasaki disease:川崎病
川崎富作氏によって発見された主乳幼児がかかる発熱性疾患。突然の高熱が数日続き、目や唇の充血、身体の発疹、手足の発赤、首リンパ節の腫脹など様々な症状を惹き起こす。小児急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群(英: MucoCutaneous Lymph-node Syndrome, MCLS)とも言われるが、世界的に「川崎病 (KD)」と呼ばれる。川崎病の病因は不明。感染症説、自己免疫疾患説などがあるが、特定されていない。
coronary artery:冠動脈:心臓を養う血管のこと
inflammation:【ìnfləméɪʃən】(インフラメイション):炎症・点火・発火
英文訳
多くの人がコロナウイルスに感染していた15人の子供たちが、医師がまだ完全には理解していないがヨーロッパのいくつかの国でも報告されている神秘的な症候群でニューヨーク市に最近入院しました。
15人の子供の多くはコロナウイルスが陽性であったが、 医師たちがまだ十分に理解していない不可思議な症候群のために最近ニューヨークの病院に入院していた。その症候群は、いくつかのヨーロッパの国々でも報告されている。
英文訳
2歳から15歳の子供たちの多くは、トキシックショックまたは川崎病という冠状動脈を含む血管の炎症を伴う子供たちのまれな病気に関連する症状を示しています。
その子らは2歳から15歳の子供であるが、毒性ショック症候群または川崎病に関連する症状がみられる。川崎病とは、小児の珍しい病気で冠動脈を含む血管の炎症が症状としてあらわれる。
記事によりますと
新型コロナウイルス感染で川崎病のような症状
新型コロナウイルスに感染していた15人の子供たちが、ニューヨーク市の病院に入院し、毒素性ショック(toxic shock )または川崎病(Kawasaki disease)と同様の症状で苦しんでいます。
川崎病は小児の病気で、血管に炎症が起き、血管の炎症は冠状動脈(coronary arteries)にも起こることがあり、小児突然死の原因の一つにもなる病気です。
川崎病の原因は不明で、まだわかっていないことが多い小児の病気です。
具体的には、突然の高熱、目や唇の充血、体の発疹(rash)、手足が赤くなる、首リンパ節の腫脹(swollen lymph nodes)など様々な症状を起こします。
ニューヨークの15人の子供の状態は
ニューヨーク市の保健局によると、川崎病に似た症状が出たのは、2歳から15歳の子供たち。その中で、死亡者はいません。
ニューヨーク市の報告によれば、15人の子供たちのほとんどに発熱があり発疹(rash)、嘔吐(vomiting) 、または下痢(diarrhea)を患っていたということです。入院後、そのうち5人は人工呼吸器(mechanical ventilator)を使用しています。
ニューヨーク市の会報(bulletin)では、「病気の完全な全体像(spectrum)はまだわかっていない」とし、15人の患者のうち、ほとんどがコロナウイルス陽性であるかまたは、抗体検査で以前に感染した可能性が高いことがわかっていると報告しています。
ヨーロッパでもコロナ感染の小児に川崎病のような症状が
COVID19の子供に、血管の炎症を伴う川崎病のような症状がみられることは、ヨーロッパのいくつかの国でも数十件ほど報告されています。
いずれも、死亡は記録されておらず、子供たちの多くはコロナウイルス陽性でしたが、そうでない子供もいました。
イタリア
イタリア北部の町、新型コロナウイルス発生のホットスポットであるベルガモでは、1つの病院で4月だけで20例に血管の炎症と川崎病のような症状が発生しました。
パリ
パリの4つの病院で、20人の子供が炎症性心疾患で入院しています。
イギリス
川崎病に似た血管の炎症がある12人以上の子供が集中治療を受けています。
スペイン
スペインは全国で数十の同様の症例を記録しており、スイスとベルギーでも報告がありました。
新型コロナウイルスと川崎病との関連性は?ー医師たちの見解ー
新型コロナウイルスの感染症で、比較的若い人たちに血栓ができて、脳梗塞や心筋梗塞を発症し亡くなるケースが相次いでいるとの報告が各地で見つかっていますが、小児のケースで川崎病のような症状が出ているのは、それと関連があるのではないかというのが専門家たちの見方です。
ニューヨーク州の保健委員であるザッカー博士は、ウイルスが血管の内側を含む様々な臓器を攻撃し、若い患者に毒性ショック(toxic shock)や血管の炎症(inflammation )、血栓(clot)を作っているのではないかとの見解を示しています。
また、ザッカー博士は、国際オンラインセミナー(webinar)で、他国の専門家へ、子供の川崎病に似たケースについて情報交換しました。
ザッカー博士は、
「私たちはこれまでのところ、小児の血管炎症は、Covid-19に関連する合併症(complication)であると考えている。」と言い、症例について更なる調査、追跡を行っています。
市の保健局長であるオクシリスバーボット博士は、「この川崎病に似た症候群とCovid-19の関係はまだ定義されておらず、これらの症例のすべての子供がDNA検査(DNA test)や血清学(serology)で新型コロナウイルスに感染していると証明されたわけではありません。私たちが概説した基準(criteria)を満たす患者を見つけたらすぐに私たちに連絡してほしい。」として今後も川崎病に似た症例についてさらなる調査をしていく予定です。
子供たちに注意することは?
小児科医は、子供たちが高熱、発疹、または胃の痛みを持っている場合は、すぐに医者に電話するよう注意喚起しています。
結膜炎(conjunctivitis)、目の炎症(inflammation of the eye)、リンパ節の腫れ(swollen lymph nodes)も川崎病の症状で、これらの症状にも注意が必要だとのこと。現在報告されている症例は、重症例のみで、認識されていない軽いケースも潜在的にあるのではないかとみています。
パンデミックのため、子供を病院に連れて行けないと心配の親御さんもいるだろうけど、このような全身の血管の炎症を疑うような場合は緊急を要するので、すぐに病院に相談することが勧められています。
学校は再開していいの?
新型コロナウイルスによるロックダウンを解除しようとしている国や地域がたくさんありますが、医療専門家は、この小児に起こっている川崎病に似た症状は非常にまれなケースであるので、そのことを考慮して休校を継続する必要はない、学校は開校していいとの見解です。
※5月9日、先ほどニュースでニューヨークでコロナウイルスに感染した子供が2人亡くなったそうです。5歳と7歳の子で川崎病のような症状が出ていたとのことです。