内戦が長く続いたルアンダでのヘルスケアがWHOに称賛されたという記事。詳しく見ていきましょう。
目次
Kagame Touts Rwanda’s Health Care Successes
『カガメはルワンダのヘルスケアの成功を強く勧める』
今日は、VOA NEWS May 21, 2018の記事です。
今日のSentence
The government of Rwandan President Paul Kagame — accused by some of imposing authoritarian rule on the country — received almost unanimous praise for its strides in health care. Kagame had a chance to tout his health care policy as an example to other African nations at the opening of the World Health Assembly in Geneva Monday.
Vocabulary
Rwandan:【rəwɑ́ndən】(ルワンダン):ルワンダ語、ルワンダ人、ルワンダ(人)の
Rwanda=ルワンダ=ルワンダ共和国。首都はキガリで、イギリス連邦加盟国でもある。
ルワンダは、ケニア・ウガンダ・タンザニアなどに囲まれたアフリカ東部の内陸地です。
impose:【ɪmˈpəʊz】(インポーズ):法律や税法などが使えるように導入すること。難しいことをさせること。強要すること。→科する、押し付ける、負わせる。
authoritarianː【ɔθὰrəté(ə)riən】(オーソリテリアン):(形容詞)権威[独裁]主義の; 独裁主義的な。(名詞)権威[独裁]主義者
unanimous:【juːˈnanɪməs】(ユナニマス):全員一致の
stride:【strάɪd】(ストライド):大股で歩くこと。またぐこと。前進。(動詞と名詞と同じ形です。)
tout:【tάʊt】(タウント):いいものだたと言って強く勧める→押し売りする。勧誘する。客引きする。切符をプレミア付きで売る。
Geneva:【dʒəníːvə】(ジュネイバー):ジュネーブ (スイス南西部 Geneva 湖畔の都市)
英文訳
The government of Rwandan President Paul Kagame
— accused by some of imposing authoritarian rule on the country —
received almost unanimous praise for its strides in health care.
Kagame had a chance to tout his health care policy
as an example to other African nations
at the opening of the World Health Assembly in Geneva Monday.
ウガンダの大統領カガメ氏は、彼は独裁主義的な法を国に科していることで非難されているが、ヘルスケアの大きな前進について、ほとんど満場一致の称賛を受けた。
カガメ氏は彼のヘルスケアのポリシーを他のアフリカの国々の前例として強く勧める機会を月曜日にジュネーブで開かれた世界保健機関(WHO)の会議のオープニングで得た。
ルワンダのヘルスケアとは
医療保険の高い加入率
ルワンダの公式発表によりますとユニバーサルヘルスケアは国民の90%をカバーしているとか。その健康保険の経費は、3分の2は保険加入者から、3分の1は国の予算からまかなっているとの事。universal health care(ユニバーサルヘルスケア)とは、全ての人に保健医療サービスおよび医療費補助を提供する保健プログラムのことで、日本であてはまるものとしては、国民皆保険制度があります。
カガメ大統領の医療保険政策
カガメ氏はユニバーサルヘルスケアの支持者で、国のケアシステムをそこまでリードしてきた人物です。また、彼は、African Union(アフリカ連合)の議長であり、ユニバーサルヘルスケアをアフリカ大陸の最も重要な戦略的課題(continent’s top strategic objective)であるとしています。
ルアンダの保健制度の成功は、「2030年までに世界の10億人(one billion)以上の人々がユニバーサルヘルスケアシステムを使えるようにしよう」というWHOの5年計画による援助によってなされました。
地域密着型のヘルスケアで乳幼児の死亡率激変
ルワンダの、医療保険( health insurance)に基づいた地域密着型のヘルスケアは、子供と妊婦の死亡率(child and maternal mortality)の急激な減少(steepest reductions )を導いたとのことです。
カガメ大統領は、地域密着型(community-based)、プライマリーヘルス(primary health)のシステムは、アフリカの保健・健康によい結果をもたらしていると言います。また、医療費を庶民にも支払い可能な額に収めることで、人々の生活に余裕を与え、起業精神や、家庭の子供の教育への投資、女性の経済活動参加などを促すことができると言います。
アフリカの国々に向けて
カガメ大統領は、「どの収入の国でもユニバーサルヘルスケアを達成することは可能(feasible)である。このシステムは、アフリカで貧困の原因である破滅的な医療費の個人出費(catastrophic out-of-pocket health expenditures)を避けることができる。」と言っています。
※ユニバーサル・ヘルス・ケア・システム(universal health care system)=国民の全員に保健医療サービスおよび医療費補助を提供する保健プログラムのこと。日本でいう国民皆保険制度。
※プライマリーヘルス(primary health):primary=初期の、基本的な。health=健康。/予防したり環境衛生を整えたりして、すべての人に健康を基本的人権として認める考え。具体的には、健康教育・食糧確保・母子保健・感染症の予防接種など
※アフリカ連合(African Union):アフリカの政治・経済の統合の実現やび紛争の解決のための地域統合体。アフリカの統一性及び連帯性の強化、アフリカの政治的経済的社会的統合の加速化、アフリカの平和と域内紛争や独裁政治の根絶、安全保障及び安定の促進、民主主義原則と国民参加統治の促進、持続可能な開発の促進、教育及び科学等での協力、アフリカ諸国の国際的な地位向上、等を目指している。欧州連合(EU)をモデルにしている。
カガメ大統領に問われる人権問題
カガメ氏のその功績は、WHO、西側の援助団体や報道機関に文句なしに認められていますが(is largely uncontested)、国際人権機関や国内野党はカガメ氏の法律に基づかない処刑や解決できてない失踪などの広範囲な人権侵害(human rights abuses)を非難しています。
ウワンダは表現の自由への弾圧が厳しく、国境の無い報道団(reporters Without Borders)には、「報道機関の略奪者(predator)」と呼ばれています。
ルワンダのジェノサイト
ルワンダと言って真っ先に思いつくのは、1994年に発生したルワンダのジェノサイトです。(ジェノサイト=ある宗教や人種に対しての抹殺行為。)フツ系の政府とフツ過激派によって、多数の「ツチ」と「ツチの虐殺を拒んだフツ」が殺害された事件です。約100日間で推定、50万人から100万人・国民の10~20%が殺害されました。
今日の記事のカガメ大統領は、ルワンダ愛国戦線 (RPF) (1987年、ウガンダに逃れたツチ系難民によって設立された旧反政府勢力。1994年にツチ保護を名目に全土を制圧。)の最高指導者で2003年の大統領選挙で95%の得票率で当選したそうです。また、憲法改正により最長2034年まで、大統領でいられる可能性があるとのことです。
カガメ大統領の評価は、ツチを中心に「永遠に国を治めてほしい。彼こそ平和の人だ」と、ルワンダ愛国戦線を率いて大虐殺を終息させたことを評価している(News Weekより)一方で、特にフツにとっては、「反対意見を封じている独裁制」というの不安もあるそうです。