ムコ多糖症 遺伝子治療

Science & Health

ムコ多糖症のハンター症候群へ遺伝子編集の治験・経過は順調

Early Results Give Hope For Human Gene Editing to Change DNA

「DNAを変えるためのヒトへの遺伝子編集の早期の結果は、希望を与える」

みなさんこんにちは。今日は、遺伝子治療のお話です。

代謝病の一つであるハンター症候群は、遺伝子の一部に欠如があるために、細胞内の糖質を分解する酵素の一つを作ることができません。このニュースは、ハンター症候群の人に、足りない遺伝子を注入して、遺伝子を変えて、必要な酵素を作れるようにしようとする治療の臨床試験についての話です。

どのようにして、必要な遺伝子を患者の体の中入れるのでしょうか。

また、実験の結果は?治験に参加した人は元気なのでしょうか?

では、詳しく記事をみていきましょう。

今日は、TIMEを取り上げています。

September 5, 2018 TIME

今日のSentence

Early, partial results from a historic gene editing study give encouraging signs that the treatment may be safe and having at least some of its hoped-for effect, but it’s too soon to know whether it ultimately will succeed.

The results announced Wednesday are from the first human test of gene editing in the body, an attempt to permanently change someone’s DNA to cure a disease — in this case, a genetic disorder called Hunter syndrome that often kills people in their teens.

Through an IV, Madeux received many copies of a corrective gene and a gene-editing tool called zinc finger nucleases to help put it in a precise spot in his DNA. He was one of the two patients given a very low dose of the treatment, because this first-in-human testing called for extreme caution.

Vocabulary

gene editing:または、genome editing =遺伝子編集。遺伝子の一部に、遺伝子物質を加えたり、削除したりなどしDNAを変える技術。

hoped-for effect:待望の効果

Hunter syndrome:ハンター症候群:ムコ多糖症のひとつ。

ムコ多糖症=先天性代謝異常症のひとつ。細胞の中のムコ多糖を分解するのに必要な酵素が、その酵素をつくる遺伝子の欠如のために作れない。よって細胞の中のムコ多糖が代謝されずに、全身の細胞にムコ多糖が蓄積する。具体的な症状として、低身長、骨変形、固い関節、心弁膜症(心雑音)、難聴などがあるが、個人差がある。足りない酵素を補う治療がなされる。

IV:=Intravenous therapy (IV) =静脈(vein)から、薬などを注入する治療。(intra- + ven + -ous). 

zinc finger nucleases:ジンク フィンガー ヌクレアーゼ=遺伝子編集を行うときに有効な酵素の一つ

a very low dose:非常に少ない薬量で

called for:要求する

Sentenceを分解して訳してみましょう

Early, partial results from a historic gene editing study 早くにも、歴史的な遺伝子編集の研究の部分的な結果は

give encouraging signs 嬉しい兆候を与えた

that the treatment may be safe (それは)その治療は安全で

and having at least some of its hoped-for effect, 少なくとも期待した効果のいくつかを持っていると

but it’s too soon to know whether it ultimately will succeed. しかし時期が早すぎるので、それが、成功かどうかはまだわからない。

歴史的な遺伝子編集の研究の部分的な結果が早くにも現れた。その治療はたぶん安全で、少なくともいくつかの期待していた効果の兆候が見られた。しかし、その研究が最終的に成功であるかどうかは、今は十分に時間がたっていないのでわからない。

 

The results announced Wednesday この結果は、水曜日に発表された

are from the first human test of gene editing in the body, は、初めての人間のテストだ 体の中での遺伝子編集の

an attempt to permanently change someone’s DNA 試みであった 誰かのDNAを永久に変えると言う

to cure a disease ある病気を治すために

in this case, この場合は、

a genetic disorder called Hunter syndrome that often kills people in their teens. ハンター症候群と呼ばれる遺伝病で、それはしばしば人を10代で死なせてしまう

水曜日に発表された結果は、誰かのDNAを永久に変えると言う人体に行う初めての試験であった。今回のケースは、ハンター症候群と呼ばれる多くの場合10代で亡くなることが多い遺伝病だ。

 

Through an IV,

Madeux received many copies of a corrective gene and a gene-editing tool called zinc finger nucleases

to help put it in a precise spot in his DNA.

He was one of the two patients given a very low dose of the treatment,

because this first-in-human testing called for extreme caution.

静脈注射を通じて、Madeuxさんは、調整された遺伝子とその遺伝子をDNAの正確な場所に埋め込むためのジンク フィンガー ヌクレアーゼと呼ばれる酵素を投与された。彼は、非常に低い濃度でこの治療を受けた2名の患者の一人であり、初めての臨床検査は最大の注意を要求される。

記事によりますと

ハンター症候群への遺伝子編集の結果は?

遺伝子の異常により、細胞に必要な酵素を十分につくれない病気であるハンター症候群に対する遺伝子治療が試験的に行われた。現在の試験結果は、ハンター症候群 の特徴(hallmark)である尿(urine)中のムコ多糖の値が、中濃度の治療(a medium dose of the treatment)を受けた2名の患者で、4月前と比べて半分に低下した。この結果は、今回のハンター症候群に対する遺伝子編集の治療がうまく行っているサインとなりうる。

低濃度(a low dose)の治療を受けている2名については、尿のムコ多糖の量は、今のところほとんど変化は見られていない。

患者の尿中のムコ多糖の減少は、この治療によるものかどうかは、まだわからない。しかし、彼らの尿中の糖の値は、この治療を受けて以来、継続的に下がっている。

ハンター症候群に対する遺伝子編集研究のリーダーであるノースカロライナ州チャペルヒル大学(University of North Carolina, Chapel Hill)のJoseph Muenzer氏は、「今のところ、この治療の効果については、確実に(absolutely)は言えない。しかし、尿中の糖の値の低下は非常にうれしい。」と言っている。この研究の目的は、この治療を安全に行う事、またこの治療が効果があるのかを見るということである。

カルフォルニアに本拠地がある(California based)、遺伝子治療の研究・開発を行うの企業Sangamo Therapeuticsの社長、Sandy Macrae博士は、5か月間の試験結果は今後もっと明らかになるだろうし、中濃度の薬を投与されたグループの成績は今までのところ、本当に良いと述べている。

 

遺伝子編集とはどのようになされるのか?

遺伝子編集(Gene editing)とは、遺伝子治療(gene therapy)を行うための、より正確な方法で、悪い遺伝子(a bad gene)を削除したり、欠損している(missing)部分によい遺伝子をくみこむもの。医師たちは、遺伝子編集が難治の病気に有効であることを願っている。

11月、ハンター症候群 のBrian Madeuxさんは、遺伝子編集を受けた初めての人となった。ハンター症候群の彼は、グリコサミノグリカン(GAG)と呼ばれる多糖(large sugar compounds )を代謝(breaks down)する酵素(enzyme)をつくる遺伝子が欠けている。分解されなかったグリコサミノグリカン(GAG)は細胞の中で蓄積され(build up)、体中に障害(havoc)を起こす。

静脈注射を通じて(Through an IV,)、Brian Madeuxさんは多くの正常な遺伝子と、その遺伝子が正常な箇所に組み込まれることを助けるジンクフィンガーヌクレアーゼ(zinc finger nucleases)と呼ばれる酵素を体の中に注入される。

中濃度の治療を受けた2名の患者のグリコサミノグリカン(GAG)のレベルは、遺伝子治療を受けた後、51%低下した。また細胞に蓄積(accumulate)されたグリコサミノグリカンGAGは、それぞれ(respectively)32%と61%減少した。しかし、このグリコサミノグリカン(GAG)の減少が、患者の健康を増進したり、病気の進行を遅らせる事につながるのかはまだ分かっていない。

副作用は今のところ見られていない。治験を受けた1名は気管支炎(bronchitis)入院して(hospitalized)、他の1名は不整脈(irregular heartbeat)が起きているが、これらは、患者にもともとあった症状(pre-existing conditions)で今回の遺伝子治療とは関係がないとされる。

次のステップは?

つぎは、患者に初めの濃度よりも10倍高い濃度での治療が行われる。そして、これまでに治療として受けてきた酵素の補充を止める。この治療のおかげで、自分の体で酵素が作られるようになったかどうか確かめるためだ。

結果は、2月の医療会議で発表される予定である。

Madeuxさん(45歳)は、「毎週3時間かけて行われる酵素補充療法(enzyme infusions)が止められるなら嬉しいと思いこの治験に参加しました。また、ハンター症候群の次の世代に治療法を見つけるのを助ける気持ちもありました。私は年を取り、ハンター症候群ゆえに体のあちこちにダメージがあります。私は今まで生きていたのは、本当にラッキーなんですよ。」と語っている。

酵素とは?「のり」と「はさみ」

今日のニュースの中のハンター症候群と言う病気は、ある酵素が作られないために起こるものでした。

酵素とは、体の中でおこる化学変化を助ける物質です。例えるて言うなら、「のり」と「はさみ」のような役目をするもの。体の中の物質を酵素で細かくしたり(はさみ)、逆に分解された物質をくっつけて、新たな物質を作ったり(のり)します。

しかも、「はさみ」と「のり」は、何を切ったりくっつけたりできるかが決まっています。それぞれが、ある物質を切るための特別な「はさみ」であり、特別な「のり」なのです。

だから、酵素には、たくさんの種類の酵素があり、その酵素のどれかが欠けると、体に必要な物質が作れなかったり、本来いらない物質が体に残って害になったりします。

体の中で、大きな物質がより小さく分解されたり、また、小さな物質どうしがくっついてより大きなものになる、このような体の中の化学変化の事を代謝といいます。

 

今回話題になっていたハンター症候群とは、先天性代謝異常の病気です。

酵素は、遺伝子によってつくられます。その遺伝子に異常があり、ある特定の酵素が作れないと言うのです。また、遺伝子の編成を行う時も、遺伝子を切ったりするために、酵素が必要になります。



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