アメリカの救急医療

US

アメリカで急騰する医療費・トラウマセンターの問題点

A baby was treated with a nap and a bottle of formula. His parents received an $18,000 bill.

『お昼寝してミルクを飲んだだけなのに。病院から18,000ドルの請求書』

みなさんこんにちわ。今日は、VOXの記事を取り上げました。

アメリカの救急治療を受けると莫大な治療費を請求されるという、怖いお話です。

記事を見てみましょう。

Jun 28, 2018 VOXより

今日のSentence

On the first morning of Jang Yeo-im’s vacation to San Francisco in 2016, her eight-month-old son Park Jeong-whan fell off the bed in the family’s hotel room and hit his head.

Jang and her husband worried he might have an injury they couldn’t see, so they called 911, and an ambulance took the family — tourists from South Korea — to Zuckerberg San Francisco General Hospital.

The doctors at the hospital quickly determined that baby Jeong-whan was fine — just a little bruising on his nose and forehead. He took a short nap in his mother’s arms, drank some infant formula, and was discharged a few hours later with a clean bill of health. The family continued their vacation, and the incident was quickly forgotten.

Two years later, the bill finally arrived at their home: They owed the hospital $18,836 for the 3 hour and 22 minute visit, the bulk of which(※) was for a mysterious fee for $15,666 labeled “trauma activation,” which sometimes is known as “a trauma response fee.”

Vocabulary

General Hospital:総合病院

bruising 【brúzɪŋ】(ブージング):打撲傷、 打ち身、 傷あと

infant formulaンファント フォーミュラ):乳児用ミルク

be discharged from~:~から解放される

clean bill of health:医師が作成する健康証明書

bulk【bˈʌlk】(ルク):大部分・かさ・容積

trauma【trάʊmə】(トウマ)医学= 外傷。(精神科)= 精神的外傷.

911(ナイン、ワン、ワン):救急車(amburance)を呼ぶ電話番号。ナイン、ワン、ワンと読む。

 

Sentenceと訳

On the first morning of Jang Yeo-im’s vacation to San Francisco in 2016, her eight-month-old son Park Jeong-whan fell off the bed in the family’s hotel room and hit his head.

Jang さんの2016年のサンフランシスコでの休暇で初めての朝、彼女の8か月の息子、Parkくんは家族が泊まったホテルの部屋のベットから落ち頭を打った。

 

Jang and her husband worried he might have an injury they couldn’t see, so they called 911, and an ambulance took the family — tourists from South Korea — to Zuckerberg San Francisco General Hospital.

Jangさんと夫は、息子が目には見えないけがをしているのではないかと心配し、911番を呼び、救急車は韓国からの旅行して来たこの家族をのザッカ―バーグ・サンフランシスコ総合病院に連れて行った。

 

The doctors at the hospital quickly determined that baby Jeong-whan was fine — just a little bruising on his nose and forehead. He took a short nap in his mother’s arms, drank some infant formula, and was discharged a few hours later with a clean bill of health. The family continued their vacation, and the incident was quickly forgotten.

病院の医者は、Jeong-whanくんは鼻とおでこにちょっと打撲を負っただけで大丈夫であるとすぐに診断した。Jeong-whanくんは母親の抱っこで少し眠り、乳児用ミルクを飲み、2・3時間後に大丈夫だという事で、病院を出た。家族は、その後休暇を過ごし、その出来事はすぐに忘れた。

 

Two years later, the bill finally arrived at their home: They owed the hospital $18,836 for the 3 hour and 22 minute visit, the bulk of which(※) was for a mysterious fee for $15,666 labeled “trauma activation,” which sometimes is known as “a trauma response fee.”

2年後に、請求書が自宅にようやく届いた。3時間22分の病院滞在のために18,836ドルもがかかっていた。その多くは15,666ドルの見知らぬ請求で、「高度救急医療処置」(trauma activation)とあり、それは「高度救急医療費」(a trauma response fee)として時に知られるものである。

記事によりますと

まず、この記事に出てくるキーワードとしてtraumaと言う言葉があります。Vocabularyでも出てきたようにこのtraumaとは日本語で言う「トラウマ」=「心的外傷」のように精神的な痛手を言う場合もありますが、ここでは、外科的な外傷の事です。

特に、ここで問題になっているtraumaとは、普通のけがではなく緊急な大きなけがの事です。trauma center=高度救急医療センター・trauma team=高度救急医療チーム、trauma fee=高度救急医療費と訳してみました。

 

アメリカ医療の異常~打撲188万円、ねん挫1113万円、2針の縫合269万円~

韓国からサンフランシスコに旅行に来ていた親子。幸い8か月の息子のけがは軽く、ほとんど治療も必要なかったし、実際に特別な治療は受けませんでした。なのに、どうして18,836ドルもの治療費が請求されたのでしょう?18,836ドルと言えば、1ドル100円と考えると日本円で約188万円です。

他の事例では、看護師のAlexa Sulvettaさん30歳。Alexaさんはスキーで転んで足をねん挫。救急車で高度救急医療センター(trauma center)に運ばれ1日入院。その治療費は113,336ドルだったと言います。保険会社は、ねん挫治療で113,336ドルは高すぎるとして、全額の支払いはしませんでした。病院はAlexa Sulvettaさんに、不足分の31,250ドルを請求。病院によると、保険会社が支払いを拒否し、治療費の未払い残高(unpaid balances)がある時は、治療費請求を患者にするそうです。

他にも事例があります。バイク事故で救急車で運ばれ高度救急医療センター(trauma center)に連れて行かれた男性は、イブプロフェン(痛み止め)の処方と、2針の縫合( two staples)創の消毒(a saline injection)を受けました。レントゲン、CATスキャン、血液検査は必要ないという事で受けてなく高度救命救急医療センター(trauma center)に30分いただけでした。なのに、治療費26,998ドルを請求されました。その治療費のほとんどが高度救急医療費(trauma fee )だったとのことです。

 

アメリカ医療費を押し上げているトラウマセンター

実は、アメリカの医療費は、ひとつひとつの処置に応じて、どんどん費用が加算されていくとのこと。例えば、採血(blood draws)酸素飽和度の測定(checking the blood oxygen level with a skin probe)ギブスを巻く(putting on a cast)、などの一つ一つの行為に対して医療費が加算されるだけでなく、休養室での休養の一分一分ごとにそれぞれお金が加算されます。

また、この医療費の中で最も高いのが、高度救急医療チーム(trauma team)による高度救急医療(trauma care)。その額は、平均10,000ドル以上にもなるのです。しかも高度緊急医療の課金の仕方は、法則に則ったものではなく恣意的だ(arbitrarily )と言うのです。

アメリカでも90年代には(At the turn of the century)このような高度救急医療費は存在すらしていなかったそうです。

 

過去10年間で急増するアメリカの医療費・地域差も

この記事元のVox では、過去6か月にの50州とワシントン特別区(Washington, DC)の1400の緊急外来(ER)にかかった患者の請求書を集め、実際に治療費がどのくらいか調べました。

予想通り、アメリカの治療費は過去10年で急速に値上がりもしていたそうです。

また、治療費にはアメリカ国内でも病院によって大きな違いがあり、最も治療費が低かった病院はミゾリー州の病院で1,112ドル、最も高かったのはカルフォルニア州にある病院で、50,659ドルでした。

記事では、高額すぎることに加えて次のような問題点も上げています。

アメリカでは何の治療をしたら、いくらと治療費が処置によって決まっているわけでなく、病院が治療費を好きに決めてよいということです。だから、病院によっても治療費に大きな差があり、治療費が安い病院の平均治療費は725ドル、高い病院の平均治療費は13,525ドルでした。

トラウマセンターはどうして超高額なのか?

医療ガイダンスでは、患者が少なくとも30分の高度救急医療チーム(trauma team)による高度医療(critical care)を受けた時のみ高度救急医療費(trauma fee)を請求できるとしています。

しかし、今回の韓国の子供が受けた処置のように、患者が高度な医療を結果的に必要でなかった時も、病院は高額な治療費を請求しているのです。

高度救急医療センター(trauma center)は、外科医(surgeon)麻酔科医 (anesthesiologist)がいつでも、緊急の外傷患者に対応できるように研修や体制表(roster)必要だと主張。

サンフランシスコ総合病院のBrent Andrew 氏は、サンフランシスコは、人口密集地であり色々な事故が想定され、それに備えた万全体制の維持のために経費がかさむ。今回の韓国からの旅行者Jeong-whanくんの治療費は適切であると説明しています。

この高度救急医療費(trauma response fee)は、2002年に National Uniform Billing Committee(全国一律課金委員会)により初めて承認されました。

高度救急医療センター(trauma center)は普通の緊急治療を超えた重症患者を治療できる特別の資格が要求されます。

高度救急医療チーム(trauma team)は、現場の医師が必要だと感じた時に、病院内の無線(radio)で、チームのメンバーが呼び出され発動します。しかしチームの医師が診察し、実際には高度医療は必要ないと判断したら、普通の緊急室に連れて行かれ、治療費もより安くなるという事ですが、実際にはそうはされていないそうです。。

 

トラウマセンターはドル箱なのか

病院は、高度救急医療チーム(trauma team)維持費を考慮し、その額をどのように患者に割り当てるかを勘定しているとのこと。無保険の患者が多い病院では、保険に入っている患者にもっと多くの医療費を請求し、損失を穴埋めする可能性があるとのことです。

病院の中にはこの高度救急医療費(trauma fee)をドル箱(a cash cow)としている病院もあるとのことです。

患者の中には、高度救急医療費’trauma fee)に疑問を持つ人もいます。

救急車を呼んで病院に着いた患者は、救急車や病院内でトリアージをうけ、どの程度のけがで、どんな治療が必要であるかをまず見極められますが、そこで、大事を取られて、必要以上に高度救急医療チーム(trauma team)に診察されると思いもよらぬ高額な治療費を請求されることになるのです。

万が一、高度救急医療チーム(trauma team)による診察を受けず死んでしまったら大変なので、大事を見て25-35%の患者は 緊急度の過大評価(overtriage)をする、よって、ある程度のovertriageも仕方ないと病院側は主張します。患者にとっては、必要もなく、希望もしてない高度緊急医療によって莫大な請求費を請求されることになってしまうのです。

そう言えば

表現で面白いものがあったので紹介します。

American hospital bills today are littered with multiplying fees.

litterは、名詞で「くず・ごみ」とか、「無秩序にちらかっている多くの物」などの意味。動詞では、「無秩序に、多くの物がちらばってる・ちらかっている」の意味があります。 multiplyingは「増倍・乗算」などの意味です。

今日のアメリカの病院請求は、増倍する(multiplying)治療費が、あちこちに散らばっている。

と言うような意味になります。

あの処置をしたら、いくらかかり、この処置をしたら、いくらかかる・・と、何かの処置をするたびにどんどん治療費が重なっていく様子が表現されています。

また、おもしろかったのが”a cash cow”で「お金の出る牛」です。日本語では、「お金のなる木」と言う言い方をしますね。患者をドル箱にしてはいけませんよね。

ちょっとしたケガで日本円に換算して何百万円、時には1千万円も支払わなければいけない可能性が発生するとは、現代のホラーとしか思えない話です。だったら、自力で傷口を針と糸で縫った方がまだましです。って映画SiCKO (シッコ)でそんなシーンありましたよね。

外務省の平成28年の「当地での医療の現状」によるとアメリカは医療費がとても高く例えばニューヨークでは、「病気や怪我など1回の入院で数百万円から1千万円になることを覚悟してください。」との注意書きがありました。この注意書きには、何百万円にもなるケースとして手術が必要で数日の入院のケースが紹介されていましたが、ちょっとしたケガでの超高額請求には触れられていませんでした。私たちは、アメリカに旅行する時には、ちょっとしたケガについても、かなりの注意が必要なのかもしれません。

1千万円の治療費というものは本当にあることなんだと今日の記事をみてつくづく思い知らされました。

今後、アメリカの医療制度がどうなっていくのか、他の国の医療制度はどのようなものなのか、機会があれば見ていきたいと思います。

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